MVV(ミッション・ビジョン・バリュー)を決めようとして、手が止まったことはありませんか。
白紙の前に座る。最初の一行が出てこない。立派な言葉を探しているうちに、時間だけが過ぎていく。
私は、そうでした。MVV を決めるときには、いつも苦労してきました。決められなかったのです。
そこで、道具を作りました。質問に「選んで答える」だけで、MVV の下書きができる道具です。
文字を入力する場面は、ありません。選ぶのは、書くための取っかかりです。
この記事では、その道具の中身と、作った理由を書きます。
使い方の案内は、紹介ページにあります。先に触ってみたい方も、そちらからどうぞ。
MVV の書き方の解説では、ありません。考えを、どうかたちにしたか。企画と創造の話です。
どんな考えを持っていて、それを画面の形にするために、何を決め、何をやめたのか。
その途中に、私のものの見方が出てくると思うのです。
この記事でお伝えしたいことは、ただ一つです。
MVVは、ゼロから書かなくていい。
白紙から書くのではなく、候補から選ぶ。選んだものを材料に、下書きを作る。
最後に、自分の言葉に直す。この順番なら、手が止まりにくいと思うのです。
- ミッション・ビジョン・バリューの、3つの問い
- 書く前に、まず「選ぶ」道具にした理由
- 設問の組み立てと、価値観の言葉の扱い方
- 作り直しの記録と、先に決めた「しないこと」
- 考え方を、道具のかたちにするまで
- 目的の3段と、MVV のつながり
- このサイトの MVV を、どう言葉にしたか
- 下書きを自分の言葉に直す方法と、5つの手順
MVVは、3つの問いでできている
MVV は、ミッション・ビジョン・バリューの頭文字です。3つは、それぞれ別の問いに答えます。
| 言葉 | 問い | ひとことで |
|---|---|---|
| ミッション | 何をするのか | いま果たす役割 |
| ビジョン | どこへ向かうのか | めざす姿 |
| バリュー | どう動くのか | 判断の基準 |
言葉の意味は、人や組織によって、少しずつ違います。この記事では、上の表の意味で使います。
どこへ、何を、どう。この3つがそろうと、迷ったときに戻る場所ができます。
MVV の値打ちは、立派な言葉を飾ることではないと思います。
迷ったときに、「何のためだったか」に戻れることです。
MVV は、大きな会社のものと思われがちです。
でも、お店でも、教室でも、発信でも、自分の働き方でも、「何のために」を言葉にする場面はあります。
手が止まるのは、能力の問題ではない
MVV でつまずきやすい場所は、三つあると思うのです。
一つめは、最初の一行が書けないこと。白紙の前で、手が止まります。
二つめは、立派な言葉に寄ってしまうこと。
書いては消すうちに、言葉だけが大きくなり、自分のものではなくなっていきます。
三つめは、何のために決めるのかが、曖昧なこと。
会社の旗なのか、自分の指針なのか、人と話し合うためのたたき台なのか。
目的が決まらないまま書くと、どの言葉も合っているようで、合っていません。
どれも、能力の問題ではないと思います。白紙を前にすれば、誰でも手が止まります。
私が決められなかったことが、この道具の出発点でした。
この3つのつまずきに、道具は次のように応えます。
- 最初の一行が書けないことには、書く前に、まず選ぶ形で応えます。
- 立派な言葉に寄ってしまうことには、選択肢を6つに絞って応えます。
- 何のために決めるのかが曖昧なことには、最初の質問で、何を築くかを決めてもらいます。
6つの中から選ぶ限り、言葉が際限なく大きくなることはありません。
道具の仕組みは、この3つへの答えとして読めると思うのです。次の節から、順に見ていきます。
こんなときに、役に立つと思います
紹介ページには、こんなときに手に取ってほしい、という3つの場面を書きました。
- 自分のお店や活動の「何のために」を、まだ言葉にできていない。
- 白紙の前で、書き始められない。
- 人と話し合う前に、たたき台がほしい。
もう一つ、思い浮かべている人がいます。
自分のことを考えるほど、何が自分なのか、分からなくなってしまった人です。
自分について書こうとすると、書けることが多すぎます。
多すぎて、かえって、どれも決め手に見えなくなります。
選ぶ形なら、候補が6つに限られます。限られていれば、「これは違う」と言いやすいと思うのです。
築くものには、「自分(働き方・生き方)」も選べます。
作ったもの①:書く前に、まず選ぶ
道具には、前の形がありました。
9つの段階を踏みながら、自分の言葉を書き込んでいく、ガイドの形です。
いまの形は、書く前に、まず選んでもらいます。
決めたことは、三つです。
- 道具の中では、書かせない。選んでもらう。
- 選んだ内容は、取らない。この端末の外へ送らない。
- 結果を保証しない。たたき台として渡す。
取らない、保証しない、と決めたのは、無料で使える道具だからです。
結果の責任までは、負えません。そのかわり、安心して試せる軽さを大事にしました。
では、なぜ、選ぶ形にしたのか。
本当は、書くほうがいいのです。けれども、いきなり作るのは、難しい。
ビジョンやミッションやバリューを書いてと言われて、書ける人は、そうそういません。
だから、まず取っかかりを作るために、選ぶ形にしました。
選んでいるうちに、「ああ、自分って、こういうところがあるな」と気づく。
そこから、「じゃあ、自分はこうかもしれない」と、言葉が浮かんでくる。
そのために、わざと選ぶ形にしたのです。
選んだものを材料に、自分のことが分かってくる。
この見方は、柱の「認識」にも書いています。
選ぶ形でなかったら、たぶん、書けないと思います。私が、そうでした。
書くたびに、言葉が何回も変わっていきました。
「ゼロよりは書けるわけでしょ」。道具を作っているとき、私はそう言いました。
完成品を渡すのではありません。たたき台を渡します。
道具が連れていけるのは、次のところまでです。
「傾向としては、こういうところがある。それをもとに、自分の言葉で書いてみては」。
最後に、自分の言葉で書くのは、使う人自身です。
名前にも、迷いました。最初は「仮の」MVV と呼んでいました。
けれども、「仮の」という言い方は、軽く見えます。そこで、「MVVの下書き」という言い方にしました。
下書きという言葉には、直してよい、という許しがあります。使う人が手を入れる前提の紙だからです。
作ったもの②:設問の組み立て
質問は、8つです。どれも、6つの選択肢から選びます。
| 順 | 質問 | 聞いていること |
|---|---|---|
| 1 | 築くもの | お店・会社・団体・発信・自分・教室のどれを築くか |
| 2 | 旅の理由 | なぜ、それを築くのか |
| 3 | 旅の仲間 | 誰と進むのか |
| 4 | 築く場所 | どんな場所に築くのか |
| 5 | 待つ人 | 誰が待っているのか |
| 6 | 自分の強み | 何を持って進むのか |
| 7 | 避けたい道 | どんな道は進みたくないか |
| 8 | 荷物 | 大切にする言葉(3つまで) |
質問には、旅の言葉を使っています。
MVV を考えることは、行き先と、旅の理由と、荷物を決めることに似ていると思うのです。
このうち、MVV の3つに直接つながるのは、三つです。
- 旅の理由は、ミッション(何をするのか)の材料になります。
- 築く場所は、ビジョン(どこへ向かうのか)の材料になります。
- 荷物は、バリュー(どう動くのか)の材料になります。
残りの質問は、その3つの文を、自分の状況に寄せるためのものです。
誰と進むのか、誰が待っているのか、何を持っているのか、何を避けたいのか。
6つめの質問は、自分の強みです。
強みを一歩引いて見て、働く場所を選び直した話は、別の記事に書いています。
並びを見ると、最初は外の世界のことを聞いています。
何を築くか、なぜか、誰と進むか、どこに築くか、誰が待っているか。
そのあとで、自分のことを聞きます。強みと、避けたい道です。最後に、言葉を選びます。
外から内へ、そして言葉へ。いきなり自分の内側を探らずに済む並びです。
最初に、築くものを選ぶ
最初の質問は、何を築くかです。
お店、会社、団体・サークル・活動、発信、自分(働き方・生き方)、教室・工房の、6つから選びます。
築くものによって、MVV の言葉は大きく変わります。
お店の「何のために」と、自分の働き方の「何のために」は、同じ問いでも、答えの形が違います。
選ぶと、道の先の建物が変わります。答えるたびに、空の色や出会う人も、描き足されていきます。
選択肢は6つまで、質問は8つまで
選択肢は、すべての質問で、ちょうど6つにそろえました。質問も、8つまでです。
きっかけは、ジャムの話でした。
選択肢が多すぎると、人はかえって選べなくなる。売り場に並ぶジャムの種類を使った、よく知られた話です。
選ぶための道具が、選べなくなる原因をつくっては、本末転倒です。
そこで、6つを上限にしました。全部の質問で6つになっているか、機械でも確かめています。
避けたい道も、選ぶ
向かう先だけでなく、避けたい道も選びます。
「こうなりたい」だけだと、言葉は似てきます。
「こうはなりたくない」が入ると、自分の輪郭が出ると思うのです。
同じ選び方なら、同じ文が出る
この道具は、同じ選び方をすれば、同じ文が出ます。回答の生成に、AI は使っていません。
ほかの人と、文が重なることもあります。
出てくるのは完成した答えではなく、自分の言葉に直すための下書きだからです。
作ったもの③:価値観の言葉
バリューの材料になるのが、価値観の言葉です。この言葉は、私が自分で作った64語です。
64語は、全部は出していません。道具の中で見せるのは、その一部です。
外した言葉の例が、「家族」です。大切な言葉です。
ただ、お店や会社のコンセプトを考える場面では、関係が薄いと考えました。
言葉の価値に、優劣をつけたのではありません。場面との関係で、外しました。
言葉の正解は、場面で変わる。
この見方は、柱の「文脈」に書いています。
なぜ、文ではなく、言葉なのか。
文を書くのは、重い作業です。言葉を選ぶのは、軽い作業です。
しかも、選んだ言葉は、あとで文を直すときの物差しになります。
「この文は、選んだ言葉に合っているか」と、見比べられるからです。
近い言葉でも、意味は違います。たとえば、安心と安全。
安心は、気持ちの状態です。安全は、危険がない状態です。
どちらを選ぶかで、MVV の向きが変わります。
最後の質問では、6つの言葉から、大切なものを3つまで選びます。
自分用の言葉の一覧を作るなら
道具を使わなくても、同じ考え方で、自分用の一覧は作れます。
- 思いつく言葉を、よし悪しを考えずに並べる。
- 似た言葉を、ひとまとめにする。
- いまの場面に関係の薄い言葉を、外す。
- 6つに絞り、その中から3つ選ぶ。
数を競う必要はありません。大事なのは、外す基準が、場面にあることです。
作ったもの④:答えるたびに、風景が描かれる
質問に答えるたびに、小さな風景が描き足されていきます。
道の先に建物が建ち、空の色が変わり、出会う人が増えていきます。
実物は、紹介ページから試せます。
最初の版は、文字だけの道具でした。
その版を見て、私は「ちょっと、ガキくさいかな」と感じました。
そこで、丸いボタンを角ばったものに、流れる告知帯を動かない1行に、言葉も落ち着いた言い方に改めました。
次に、見せ方を大きく変えました。華やかさがほしい。
昔のゲームをやっているように、冒険が進むと、絵ができていくようにしたい。私は、そう伝えました。
華やかさと、落ち着き。この2つを両立させる作業でした。
もう一つ、こだわったのが、ワン画面です。スクロールさせたらアウト、と私は言いました。
漫画のように進んで、最後に、完成した絵が大きく現れる。
上に8コマの小さな絵、真ん中に6つの選択肢、という形に落ち着きました。
出来上がった画面を見て、私は「それをやりたかったんです」と言いました。
風景が描かれていくと、進んでいる実感があります。
MVV を考えている間は、前に進んでいるのかどうか、自分でも分かりにくいものです。
絵が増えていけば、いま何問目で、どこまで来たのかが、目で分かります。
道具が出すのは、答えではなく、下書き
最後に出てくるのは、ミッション・ビジョン・バリューの下書きです。
たとえば、お店を選び、「誰かが安心して頼れる場所をつくりたい」を選んだとします。
すると、ミッションは「誰かが安心して頼れる場所をつくる。」になります。
PDFにして、持ち帰れます。自分の言葉に直すための、書き込みシートも付けられます。
結果だけなら1ページ、書き込みシートを付けると2ページです。
この下書きは、選んだ答えから見えた傾向です。それをもとに、自分の言葉で書いていくための紙です。
使う前に、知っておいてほしいことがあります。
- 診断ではありません。内容の正しさや成果を保証するものでも、専門的な助言でもありません。
- 選んだ内容は、この端末の外へ送信・記録されません。
- 出てきた文を、社名や商標にそのまま使う前には、ほかと重ならないか確かめてください。
- 色は、このサイトに合わせた、紺と青です。
出てくるのは完成品ではなく、自分の言葉に直すための下書きです。決めるのは、あなた自身です。
作り直しの記録:一言で、方向が変わった
道具は、一度で完成したのではありません。版を重ねて、いまの形になりました。
| 版 | 私の一言(要旨) | 変わったこと |
|---|---|---|
| 書き込み式(前の形) | MVV を決めるのに苦労した。書かずに、選ぶだけの道具がほしい | 9段階の書き込みから、選ぶだけへ |
| 選ぶだけの第1版 | 選ぶだけで、1枚のひな形がほしい | 7つの選択、入力なし、1枚の PDF。色は紺と青 |
| 手直し | ちょっと、ガキくさいかな | 丸いボタンを角ばったものに、動く告知帯を動かない1行に、言葉を落ち着いたものに |
| 冒険の版 | 華やかさがほしい。冒険が進むと、絵ができていく | 章ごとに、絵が描き足される形に |
| 絵の質を上げた版 | めちゃくちゃいい。お店・会社・自分で、絵を変えて | 築くものに合わせて、建物の絵が変わる。PDF は2ページに。名前が「MVVの道しるべ」に |
| 6択の版 | 誰にと、強みも入れて。選択肢は6つまで。質問は8回まで | 質問がちょうど8つ、選択肢がちょうど6つ。「仮の」が「下書き」に |
| ワン画面の版 | スクロールさせたらアウト | 上に8コマの絵、真ん中に6つの選択肢、最後に完成の絵 |
| 点検の版 | 方向は、もう90%OK。全部見直して、安全か確かめて | ボタン名の改善、外部への通信を止める設定 |
振り返ると、私の一言は、どれも短いものでした。
それでも、一言ごとに、作りが根本から変わりました。
「ガキくさい」「ワン画面」「選択肢は6つまで」の3つは、特にそうです。
そのたびに、前の版は消さずに残して、新しい版を作りました。
戻れる場所があると、思い切って変えられます。
企画は、最初の案を守ることではないと思うのです。一言ずつ、方向を直していく作業です。
つくる前に、しないことを決めた
企画というと、何をやるかを考える作業だと思われがちです。
けれども、この道具では、何をしないかが、形を決めたと思うのです。
しないことは、次の通りです。
- 道具の中では、書かせない。入力欄を作らない。書くのは、道具のあと。
- 選んだ内容を、取らない。送らない。
- 結果の正しさを、保証しない。
- 選択肢を、7つ以上並べない。
- 画面を、スクロールさせない。
- 文を作る仕組みを、複雑にしない。同じ選び方なら、同じ文を出す。
- 道具の材料は、私が自分で作った枠だけにする。
一つずつは、小さな決めです。けれども、並べると、道具の輪郭が見えてきます。
しないと決めると、迷う場面が減ります。
スクロールさせないと決めれば、画面に載せる量は、自然に決まります。
選択肢を6つまでと決めれば、候補の言葉は、絞るしかなくなります。
制約は、創ることを狭めるものではないと思います。形を決めてくれるものです。
何を入れるか迷ったとき、入れないと決めたものが、背中を押してくれます。
自分で何かを企画するときも、しないことを先に書いてみると、形が見えやすくなると思います。
- 誰には、向けないのか。
- どこまでは、保証しないのか。
- どの量を、超えないのか。
この3つに答えるだけで、企画の輪郭は、かなりはっきりします。
足したいものは、あとからいくらでも足せます。削るほうが、はるかに難しいからです。
しないことを並べるのは、自分の企画を、一歩引いて見ることでもあります。
道具は、考え方のかたち
このサイトでは、創作のことを、考え方をかたちにした企画、と呼んでいます。
MVVの道しるべも、その一つです。私の考え方が、画面のあちこちに、かたちになって残っています。
| 私の考え方 | 設計での決め | 画面で見えるところ |
|---|---|---|
| 自分で決めることが、めちゃくちゃ大事 | 完成品ではなく、下書きを出す | 「診断ではありません」の注意書き。書き込みシート |
| 受け止めたうえで、自分の軸で選べるようにしたい | 良し悪しを決めつけない。同じ選び方なら、同じ文 | 「同じ選び方なら、同じ文が出ます」の表示 |
| 選択肢が多いと、人は選べなくなる | 選択肢は6つまで、質問は8つまで | すべての質問が、ちょうど6択 |
| いきなり書ける人は、そうそういない | まず選んでもらう。書くのは道具のあと。内容を取らない | 文字を入力する場面が、ない |
| 冒険が進むと、絵ができていく | 答えるたびに、風景を描き足す | 上に並ぶ、小さな絵 |
考え方は、言葉のままでは、人に渡せません。
画面の形になって、初めて、触れて確かめてもらえます。
かたちにすると、考えのほうも変わります。
何を出し、何を外すかを決めるうちに、自分が何を大事にしているのかが、はっきりしてくる。
かたちにする作業は、考えを確かめる作業でもあると思うのです。
選択肢を並べるという作業にも、作り手の考えが出ます。
64語のうち、どれを出し、どれを外すか。「家族」を外したのは、その一例です。
だから、並べた時点で、作り手の考えは、もう入っています。
それを隠さずに、「下書き」と呼ぶ。そして、最後は、使う人に返す。
これが、私にできる、誠実なやり方だと思うのです。
中立とは、考えを持たないことではないと思います。どちらかに立って煽るのでもありません。
受け止めたうえで、相手が自分の軸で選べるように、場をつくることです。
目的の3段と、MVV
ここまでが、道具の話です。ここからは、MVV の土台になる考え方を書きます。
MVV を考えていると、途中で、何のためだったか分からなくなることがあります。
そのとき、私が戻る場所があります。目的を、3つの段に分けて見る考え方です。
RPG にたとえると、分かりやすいと思います。
| 段 | RPGでは | 役目 |
|---|---|---|
| そもそもの目的 | 魔王を倒す | 迷ったときの道しるべ。そのゲームの中では、動かない |
| 中間地点の目的 | 中ボスを倒す・次の町に着く | 到達点。終わりがあるから、次へ進める |
| いまの目的 | レベルを上げる・武器をそろえる | 何が足りないかから、いま決める |
迷ったら、このゲームの目的は何だったか、に戻ります。それが、迷ったときの道しるべです。
いきなり、レベル1で魔王に挑めば、自信をなくします。だから、途中の目的が要るのです。
次の町に着けば、新しい武器が手に入る。そう思えると、続けられます。
動かないのは、そのゲームの中だけです。
ゲームそのものが変わったときには、そもそもの目的も、置き直します。
この3段は、MVV と重なるところがあると思うのです。
MVV に、このサイトで使っている「存在意義」を足して、4つで見ると、きれいに重なります。
| 目的の段 | MVV では | 問い |
|---|---|---|
| そもそもの目的 | 存在意義 | なぜ、あるのか |
| 中間地点の目的 | ビジョン | どこへ向かうのか |
| いまの目的 | ミッション | いま、何をするのか |
バリューは、段ではありません。3つの段のどこでも、判断に迷ったときに使う基準です。
目的を段に分けて見る考え方は、柱の「目的」に書いています。
MVV を作るときも、いちばん上の段から入るのが、手が止まりにくいと思います。
道具でも、早いうちに「なぜ、それを築くのか」を聞いています。
この道具自身の目的を、3段にしてみる
この見方は、自分が作るものにも使えます。この道具に当てはめてみます。
| 段 | この道具では |
|---|---|
| そもそもの目的 | いきなり書けない人が、自分の言葉で書けるようにする |
| 中間地点の目的 | 選ぶうちに自分の傾向に気づき、下書きを手にする |
| いまの目的 | 質問を8つに絞る。選択肢を6つにそろえる。画面を1つに収める |
作っている途中で、何を足すか、何を削るかに迷ったら、いちばん上の段に戻る。
そうすれば、「道具の中では書かせない」「取らない」という決めが、ぶれずに保てると思うのです。
何かを企画するときも、同じだと思います。作る前に、3段を一度、書き出してみる。
それだけで、迷ったときに戻る場所ができます。
名前のこと
道しるべ、という言葉は、最初の名前から変わりませんでした。
「コンセプトの道しるべ」から、「MVVの道しるべ」へ。変わったのは、頭の言葉だけです。
英語の副題は、DRAFT MVV QUEST です。DRAFT は、下書き。QUEST は、探しに行く旅。
「下書き」という言葉を、英語でも残しました。
この道具は、書くための道しるべです。
答えを出す道具ではありません。自分の言葉で書いてもらうための、道しるべです。
ゲームのたとえでも、そもそもの目的は、迷ったときの道しるべでした。
このサイトの MVV を、どう言葉にしたか
akitoyo.jp にも、MVV があります。3つの文です。
| 目的の段 | 文 |
|---|---|
| 存在意義 | 判断力と創造力を高めるために、思考と問いを、構造として可視化する。 |
| ビジョン | 自分も、相手も、一歩引いて見渡せる視点を。 |
| ミッション | 考えがモヤモヤして動けない人が、1%でも前に進めるように、アクションプランを作る。 |
3つは、遠くから近くへ、つながっています。
なぜ、あるのか。どこへ向かうのか。いま、何をするのか。前の節の3段と、同じ並びです。
文の終わりに、違いが出ます。
ミッションは、「作る」という動きで終わります。
ビジョンは、「視点を」という、手に入れたいものの名前で終わります。
自分の文がどちらか迷ったら、終わりを見ると見分けやすいと思うのです。
この3文を、道具の言葉で読み直してみます。
存在意義の「思考と問いを、構造として可視化する」は、道具そのものです。
選んだ答えが、風景になり、下書きの文になる。頭の中にあるものを、目に見える形に置き直しています。
ビジョンの「一歩引いて見渡せる視点」は、画面の上に並ぶ、小さな絵です。
8コマ並ぶと、自分の答えを、少し離れて眺められます。
ミッションの「アクションプランを作る」は、この記事の最後にある、持ち帰りです。
読んだ人が、明日、ひとつだけ動けるようにする。1%でも、前に進めるように。
この言葉を作るとき、大事にしたことが、三つあります。
一つめは、自分で決めることです。
このサイトで言っていることは、全部、判断の話だと思っています。だから、自分で決めることが、めちゃくちゃ大事なのです。
道具が出すのは下書きまでで、決めるのは使う人自身、というのも同じ考えです。
二つめは、直すときに、全部を書き換えないことです。
言葉を見直したとき、外れていた語は、一部でした。全部を書き換えれば、合っていたところまで動きます。
そうなれば、また全部を見直すことになります。直すのは、外れている語だけです。
三つめは、サイトの芯です。判断軸としてのレンズがなければ、辛くなると思うのです。
生きづらさという言い方は、逆説です。
言いたいのは、生きやすくするために、中立に捉えるためのレンズが要る、ということです。
私自身が、反応して、苦しんできました。だから、こういうものを作りたいのです。
このサイトのものは、全部がそこに帰属しています。MVVの道しるべも、その一つです。
道具が出した下書きも、同じ扱いでよいと思います。全部を書き換えない。外れている語だけを替える。
下書きを、自分の言葉に直す
道具が出す下書きは、そのままでは、まだ誰のものでもありません。
自分の言葉に直す作業が、いちばん大事だと思います。
道具の例を使って、直し方を見てみます。
お店を選び、「誰かが安心して頼れる場所をつくりたい」を選んだときの、ミッションです。
誰かが安心して頼れる場所をつくる。
1回目は、「誰か」を直します。誰か、では、誰のことか分かりません。
たとえば、初めて来た人にします。
初めて来た人が、安心して頼れる場所をつくる。
2回目は、「頼れる」を直します。頼れる、とは、どんな状態でしょうか。
たとえば、質問できることだとします。
初めて来た人が、安心して質問できる場所をつくる。
替えたのは、2語だけです。「安心して」も、「場所をつくる」も、そのままにしました。
合っていたところには、触れていません。
これは、たとえ話です。実在のお店の話ではありません。
最後に、声に出して読みます。人に話すときの言葉で、言えるか。
言いにくければ、その語が、まだ自分の言葉になっていないしるしだと思うのです。
まとめると、直し方は三つです。
ぼんやりした語を、具体的な人や状態に置き換える。合っている語には、触れない。声に出して読む。
自分の MVV に向かう、5つの手順
道具の流れを、紙とペンでもできる形にすると、次の5つになると思うのです。
- 何を築くかを、1つ選ぶ。お店、会社、団体、発信、自分、教室。迷ったら、いまいちばん時間を使っているものにします。
- 「なぜ始めたか」の候補を、3つ並べる。その中から1つに、丸をつけます。ミッションの材料です。
- 「どこへ向かうか」の候補を、3つ並べる。1つに、丸をつけます。ビジョンの材料です。
- 避けたい道を、1つ決める。大切にする言葉を、3つまで選ぶ。バリューの材料です。
- 丸をつけたものをもとに、3つの文を自分の言葉で書く。声に出して読み、外れている語だけ替えます。
手が止まったときの、小さな工夫も書いておきます。
- 言葉が大きくなりすぎたときは、「1%でも前に進める」大きさまで、小さくしてもよいと思います。
- 一人で決められないときは、完成させずに、たたき台のまま人と話してもよいと思います。
どちらも、決める前に、整えるための工夫です。決めるのは、あなた自身です。
試作版として、出すこと
この道具は、完成品としてではなく、試作版として出しています。紹介ページにも、そう書きました。
理由は、下書きと同じだと思うのです。
出す側も、完成させてから渡すのではなく、途中のものを渡して、直しながら育てたい。
使ってもらい、感想をもらい、言葉が合わなかったところを直す。
下書きを渡す道具が、下書きの形で世に出る。そこには、筋が一本通っていると思います。
感想は、紹介ページの感想フォームから送れます。
他の人の個人情報や、社外秘の内容は、書かないでください。
ここまでの流れを、ひとつの表にまとめます。
| 順 | やったこと | 書いた節 |
|---|---|---|
| 1 | 困りごとから始めた。MVV を、決められなかった | 手が止まるのは、能力の問題ではない |
| 2 | 目的を決めた。いきなり書けない人が、自分の言葉で書けるように | この道具自身の目的を、3段にしてみる |
| 3 | しないことを決めた | つくる前に、しないことを決めた |
| 4 | 枠を作った。設問、価値観の言葉、風景 | 作ったもの①〜④ |
| 5 | 一言ずつ、直した | 作り直しの記録 |
| 6 | 試作版として、出した | 試作版として、出すこと |
企画は、順番に見ると、特別なことをしていません。
困りごとから始めて、目的を決め、しないことを決め、作って、直して、出す。
それだけです。創ることは、この繰り返しだと思うのです。
持ち帰り:明日、ひとつだけ
明日ひとつだけやるなら、これです。
いまの活動の「なぜ始めたか」の候補を、紙に3つ書き、1つに丸をつける。
書くのは、3行だけです。うまく書く必要はありません。
ゼロから書くのではなく、候補から選ぶ。そこから、自分の言葉で書く。この記事で言いたかったのは、それだけです。
それでも手が止まるなら、道具を使うのも一つです。質問に選んで答えるだけで、下書きまで連れていきます。



