【目的】手段を増やす前に、誰にどんな変化を届けるかを決める

構造的フロネーシスのテーマ「目的」を示すビジュアル

作業の途中で手が止まり、何が目的だったのか分からなくなることがあります。

調べれば調べるほど、どれも正しく見えてきて、何を選べばいいのか分からなくなる。そんなときです。

そういうとき、私が戻る場所は、目的です。

目的は、迷ったときに戻ってくる場所です。道に迷ったら、「目的は何でしたっけ」と戻ります。目的は、方向性を決めるうえで必要なことなので、何の目的でそれをやるのかは、まず明確になっていなければいけません。迷子になっているときは、目的をもう一度見直します。

この記事で分かること
  • 目的とは何か。目的は、どこで生まれるのか
  • 迷ったときの、目的の使い方
  • 目的を3つの段に分けると、何が楽になるか
  • 目的と手段が入れ替わるのは、どんなときか。その見分け方
目次

1. 目的とは?意味を持たせた時点で、もうできている

目的というと、最初に紙に書いて、壁に貼るもの。そんな印象があるかもしれません。

けれど、私の場合、順番が逆です。

「私は意味を持たせたがるので、その時点で自然と目的が出ている。」

何かを始めるときは、逆算から始めます。逆算すると決めた段階で、目的は、もう明確になっていると思います。

ここで言いたいのは、「目的を言えない人は、だめだ」ということではありません。

むしろ逆です。何かに意味を見出そうとしているときには、言葉になっていないだけで、目的はもうある。そう思うのです。

2. 迷ったときの目的の使い方:何のためにを一つ置く

目的には、もう一つの使いどころがあります。

「道に迷ったときに(戦略的に)その道しるべとして目的を意図的に使う。」

始めるときの目的は、自然にできている。迷ったときの目的は、意図して取り出す。同じ目的でも、使い方は二つです。

迷うのは、情報が足りないときとは限りません。

「情報を取得すればするほど判断軸があいまいになる。そういう場合は目的に立ち返ると引き締まる。」

調べるほど、選択肢は増えます。どれにも理由があって、どれも捨てがたい。そのうちに、比べるための軸が、いつのまにかぼやけていきます。

迷ったら、目的に戻る。「これは、何のためにやっていたんだっけ」。その問いを一つ置くだけで、増えた選択肢の多くは、いまは関係のないものだと分かります。軸が一本に戻って、引き締まります。

人と話すときも、同じです。話がずれてきたら、お互いの目的を確かめ直す。目的は、お互いの位置を確かめる目印です。

3. 目的を3つの段に分ける:そもそもの目的・中間・いま

目的を一つだけ持とうとすると、苦しくなることがあります。大きすぎる目的は、いまの自分から、遠すぎるからです。

目的は、割り算です。

「割り算。」

大きな目的を、手が届く大きさに割っていく。そして、迷ったときは、そもそも何の答えを出そうとしていたのかを確かめる。割り算には、この二つの意味があります。

RPG で考えると、分かりやすくなります。ゲームの中には、最後に倒すべき相手がいます。それが、そもそもの目的です。けれど、始めたばかりの状態で、そこへ向かうわけにはいきません。

「いきなり例えばじゃあ魔王を倒しに行きますってレベル1の状態で倒しに行けるかって考えちゃうと、なえちゃうと思うんですよ。」

だから、間に目的を置きます。次の町にたどり着く。中ボスを倒す。そして、いまは、レベルを上げる。武器をそろえる。

段ゲームでいうと役目
そもそもの目的最後の相手を倒す迷ったときの道しるべ。そのゲームの中では動かない
中間の目的次の町・中ボス到達点。終わりがあるから、次へ進める
いまの目的レベル上げ・武器をそろえるいま、何が足りないかから決める

ふらふらして、何が目的だったか分からなくなったとき、戻るのは、いちばん上の段です。置き直すのは、下の二つの段です。

そもそもの目的は、そのゲームの中では動きません。ゲームそのものが変わったときだけ、置き直します。

4. 手段が目的に入れ替わる:目的と手段の見分け方

目的に戻る、と書くのは簡単です。けれど、私も、目的を見失うことがあります。

「自動化に翻弄されていて自分がその先にどんな未来になりたかったのかが抜け落ちていた。まさに目的と手段が入れ替わっていた。」

楽にするための道具だったはずが、道具を整えること自体に、時間を使っている。入れ替わりとは、そういうことです。

入れ替わりは、少しずつ起きます。

「入れ続ける必要性がないものまで入れちゃうと、目的と手段が入れ替わっちゃうから」

一つひとつは、役に立ちそうに見えます。だから足す。けれど、足し続けるうちに、何のために足していたのかが、後ろに下がっていきます。

だから、足す前に、一つだけ問います。

「つまり、何を足すかではなくて、何のために足すか?」

見分けるときは、手段の横に、どの段の目的のためかを書いてみます。書けないものは、手段が目的の席に座っています。

入れ替わりに気づくのは、たいてい、あとからです。気づいた時点で、もう遅いのではないか。そう感じるときもあるかもしれません。

けれど、気づけたなら、戻る先はあります。いちばん上の段、そもそもの目的です。

5. 目的に戻ると手段は変えられる:コロコロ変わると言われるとき

目的に戻ると、手段が変わります。いままで続けてきたやり方を、やめることもあります。

「それをコロコロ変わるっていう人がいるんだけど、コロコロ変わってるっちゃ変わってるかもしれないけど、ものすごい速さで目的と手段が変わってるから」

外から見ると、方針が定まらない人に見えるのかもしれません。けれど、動いているのは下の段で、いちばん上の段は動いていません。

降格を選んだ日のことを、別の記事に書きました。そのときも、「役に立ちたい」という動機は変わらず、変わったのは、どこで、どんな形で役に立つかでした。役職は手段の一つで、手段の一つを手放しても、目的は手放していません。

手段を手放しても、目的は残ります。だから、手放すことが、少し怖くなくなります。そして、続けることもできます。

「人は目的さえしっかり持っていれば概ね継続ができる。」

続けられないときは、自分の根気を疑いたくなります。その前に、目的が迷子になっていないかを確かめる。そのほうが、自分を責めずに済むと思うのです。

一行の判断知

迷ったら、手段を足す前に、いちばん上の目的に戻る。

読者に残す A4 一枚:目的の地図(3段)

「目的」:読者に残す A4 一枚
欄欄の中の問い
そもそもの目的(1行)これは、何のためにやっているのか
中間の目的次にたどり着きたい場所はどこか。そこに着くと、何が手に入るか
いまの目的いま、何が足りないか。今日できる一つは何か
手段使っている道具・やり方を書き出す。それぞれの横に「どの段の目的のためか」を書く。書けないものに印をつける
入れ替わりの確かめ手段そのものが、目的になっていないか。やめたら、何が困るか
足す前の問いいま足そうとしているものは、何のためか
迷ったときに戻る1行いちばん上の欄を、もう一度、短く書く

明日ひとつだけやること

明日、いちばん時間を使った作業を一つ選び、「これは、何のためにやっていたか」を一行で書く。

それだけです。書けたら、それで終わりです。書けなかったら、それも手がかりです。手段が、目的の席に座っているのかもしれません。

この記事の線引き

私ひとりの経験と、考え方の癖を書いています。誰にでも当てはまるとは思っていません。

目的や手段を変えることを、おすすめしているわけでもありません。変えるかどうかは、それぞれの背景で決まります。

ゲームのたとえは、分かりやすくするためのものです。特定の作品の話ではありません。

いま手元にある作業のうち、もともと手段だったのに、いつのまにか目的になっているものは、ありますか。

ほかのレンズも、気になるところから読んでみてください。

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